MIDIメッセージ

MIDIメッセージ

MIDI規格上のデータの送受信は、すべてMIDIメッセージで行われる。
MIDIメッセージは、複数のバイト(8ビット)で構成されている。
「電子楽器の鍵盤を弾いたことで音が出る」という一連の流れもMIDIメッセージで制御されている。
バイト単位で処理していくため、文言上では16進数を用い、数の後にHを付ける。
MIDIメッセージを効率よく送信するために、MIDIメッセージに使用されるバイトは「ステータスバイト」か「データバイト」の大きく2種類に分けられる。
ステータスバイトとはMSB (Most Significant Bit)が「1」、すなわち80H0FFHまでの128個のバイトを指し、データバイトとはMSBが「0」、すなわち00H07FHまでの128個のバイトを指す。
MIDIメッセージは複数のバイトで構成されていると前述したが、これらの先頭は常にステータスバイトで始まり、ステータスバイトの後に任意の個数のデータバイトが続く。
ステータスバイトでは、ノートオンやコントロールチェンジ、システムエクスクルーシブなどを定義する。
データバイトは、ステータスバイトで定義したものについて、その内容や数値を指定するのに使用する。
ステータスバイトが80H0FFHのうち何であるかによって、「チャンネルメッセージ」、「システムメッセージ」に分かれる。

チャンネルメッセージ
チャンネルメッセージとは、特にチャンネルを指定して送信するMIDIメッセージのことである。
チャンネルメッセージのステータスバイトは80H0EFHである。
ここから更に「チャンネルボイスメッセージ」、「チャンネルモードメッセージ」と分類される。
チャンネルボイスメッセージ [編集] MIDIノートナンバー(音域)と音階、周波数の対応表チャンネルボイスメッセージとは、音を鳴らす、止める、音色を変える、ピッチを変えるといった、音源の演奏に必要な情報に関する定義のことである。
最大2つのデータバイトが続くことで、その内容・数値を決定する。
データバイトにて指定するノートナンバーとは、最も低い音を0、最も高い音を127と割り当てた音の高さのことである。
中央ハにはノートナンバー60が割り当てられ、88鍵盤のグランドピアノで出せる音域はノートナンバー210108と割り当てられるので、MIDIではそれより更に広い音域をカバーできる。
また、ベロシティとは音の強さのことである。
10127までありmp(メゾピアノ)が64となり、127が最も強い。
これら00127までの数字は、すべてバイト上で表現する際には10進数から16進数に置き換える必要がある。

チャンネルモードメッセージ
チャンネルモードメッセージとは、ある楽器は和音が出せるのか、16チャンネルは区別するのかしないのか、といったことを設定するための定義のことである。
BnHで始まるがコントロールチェンジには含まれず、BnHのあとに78H07FHが続くと、チャンネルモードメッセージのいずれかと判断される。
多くの場合、第2データバイトには00Hがダミーとして送信され、受信側も無視する。
ステータスバイト部のnには0H0FHが代入され、これは1チャンネル016チャンネルを表す。

システムメッセージ
システムメッセージとは、チャンネルに関係なくMIDIシステム全体に対する命令を行うMIDIメッセージである。
システムメッセージのステータスバイトはF0H0FFHである。
機能ごとに「システムエクスクルーシブメッセージ」、「システムコモンメッセージ」、「システムリアルタイムメッセージ」の分類される。

システムエクスクルーシブメッセージ
システムエクスクルーシブメッセージ(Sys-Ex、またはSysExと略記し、シスイーエックスと読む場合もある)は、MIDI機器のより細かい設定を行ったり、音色データやサンプリングデータを送受信するなど、各メーカーのMIDI機器の固有のデータのやりとりに使用できるシステムメッセージである。
ステータスバイトF0Hで始まる。
MIDIメッセージは大抵2バイト程度のデータバイトで成り立つが、SysExはMIDIメッセージ中、唯一データバイト長が指定されていない。
可変長のため、最後にシステムコモンメッセージとして定義されているF7H エンドオブエクスクルーシブ (EOX) を送信することでSysExの終了を表現する。

システムコモンメッセージ
システムコモンメッセージは、主にシステムリアルタイムメッセージと併用され、MIDIシーケンサーなどの同期に使用される。
ステータスバイト以下にデータバイトが続くものが多い。

サンプルダンプ

サンプルダンプ

サンプルダンプとは、システムエクスクルーシブメッセージを使用してサンプラーとMIDI機器間でサンプリングデータを通信する規格である。
サンプルダンプに関するフォーマットをサンプルダンプスタンダード (SDS) という。
MMAが1987年に提案した規格で、MMA-0003として定義されている。
ただし、前述の通りMIDIの通信速度は31.25Kbpsと、データ転送用途としては非常に遅い上、現代にはUSBやIEEE 1394などの高速シリアルバス普及しているため、一部の学習・研究用途を除き使われることは無くなった。

スタンダードMIDIファイル

スタンダードMIDIファイル(SMF)とは、MIDI機器やMIDIメッセージを用いる演奏に関するデータの形式であり、メーカー毎のソフトやハードに関係なく使用できる共通のファイルフォーマットである。
いわゆる「MIDIデータ」はこのことを指し、これらはMIDIメッセージの集合体である。
拡張子は.mid。
Opcode社により独自規格として提案されたが、1991年7月にAMEIとMMAによりRP (Recommended Practice) という拡張規格の第1号 (RP-001) に承認された。

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